パリで出会ったデザイナー【コウゲン編23】

パリで出会ったデザイナー

 

パリの街並み

 

パリの『Kアトリエ』にいたデザイナーCさんのこと

Cさんは僕より2年ほど遅れてパリへ来たらしい。
それからもう1年程経っていた。

 

彼女の話ではとにかくイタリアデザインに惹かれて、イタリアでデザインの勉強をしたく来たということだった。
途中パリへ寄って『Kアトリエ』へ寄ったところが、彼女のデザインを見たK氏から『Kアトリエ』で仕事をするように引き止められ、もう一年ほど仕事をしているとのこと。
彼女はパリへ来る前は日本でプリント生地用のデザイン図案デザイナーとしてはかなりのレベルの仕事をしていたらしい。

 

彼女のデザインを見たK氏が彼女に『Kアトリエ』で働くように引き止めたのはよく分かった。
K氏も優秀なデザイナーを探していたのだ。
そこへCさんが飛び込んできたのは、彼にとっても幸運だった。
Cさんはデザイナーとしても優秀で、その上とても働き者だった。
明日バイヤーが来ると聞くと残業をしても仕事をするというタイプだった。
これはフランスではやり過ぎで、後になってアトリエの同僚から時間が来たら終わるべきだと注意されて、そのやり方は改めたという。

 

 

Cさんの方がフランス語が上手い

そこで僕が少し驚いたのは、彼女のフランス語の上手いことだった。
僕はもうパリへ来て3年以上になる。
彼女はパリへ来て1年、『Kアトリエ』での彼女の通訳ぶりは在住3年以上の僕よりはるかに上手かった。

 

特に彼女がフランス語で電話するのを聞いて、それを思った。
僕にとってフランス語はまだまだ不自由なコトバだった。
直接にフランス人と会って話す時にはジェスチャーを入れたり、表情で表現できて何とかなる場合が多いが、電話するのが僕にとっては、難しかった。

 

アポのための決まり文句ですむ会話は良かったが、その続きで相手が世間話をしてきた時が問題だった。
相手の言うことが理解できない場合が多い。
やっと理解できても、すぐにフランス語の答えが出てこない。
それが彼女は平気でこなしている。

 

後で彼女に聞くと、やっぱり彼女も始めは全くフランス語が理解できなったと言う。
アトリエの中の同僚のフランス人デザイナー達は、仕事をしながらも常にお互いに喋りながら描いている場合が多いらしい。
始めは話の内容を全く理解できなかったのが、一年近く経ったある頃から突然のように理解できるようになったという。
そして話すことも相手の真似をしながら、話せるようにもなったと言う。

 

 

日本の学校で習った外国語は話す、聞くができない

喋ったり、聞いたりするコトバというのはそんな風に覚えるのが1番なのかも知れないと思った。
僕はパリへ着いて早々味わった苦い経験を思い出した。
自分が日本で約10年学校で英語を学び、いい成績でありながら、パリの最初の仕事の場でフランス語はもちろんのことだが、英語も話すことが出来なかった事、英語の単語を並べるしかなかった事を思い出した。僕はすぐ主語は?目的語は?という風に考えてしまう。と話すべき次の言葉が出て来ない。日本の学校で教える英語は今では少しは話せるものになっているのかな?

 

 

Cさんは僕の事務所で彼女のアトリエをもった

彼女はとにかく、日本にいた時からデザイナーとして、幅広く仕事をしていて、今もその仕事をこなしながら『Kアトリエ』の仕事をしているとのこと。
イタリアも魅力的だけど、今ではパリに、特にそのファッションに満足してパリで生活していきたいとのこと。
そんなわけで『Kアトリエ』はボツボツやめて、自分のデザインアトリエを持ちたいということだった。

 

僕の事務所は、幸いなことに広く、部屋が一つ空いている。
僕は彼女にそれを彼女のアトリエとして使うことを提案した。
彼女にとってもオペラの近くで便利だし、部屋も充分広いし満足したようだった。
彼女は助手として友人のフランス人デザイナーと一緒に、そのアトリエを使いたいという。
もちろん僕にとっては問題ない。
広くて、僕の仕事だけでは少し持て余していた僕の事務所も、これで充実して使えるようになった。

 

 

プロフィール

水彩風の男性写真

名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。

 

 

前回までのあらすじ

・ファッション資料を求めて、フランス移住【コウゲン編1】

https://imac-j.com/blog/france/1502/
・フランス移住後、ゼネストと仕事【コウゲン編2】

https://imac-j.com/blog/france/1506/

・パリでの初仕事~通訳事件【コウゲン編3】

https://imac-j.com/blog/france/1650/

・リヨンでの発見【コウゲン編4】

https://imac-j.com/blog/france/1768/

・パリに着いて1年後【コウゲン編5】

https://imac-j.com/blog/france/1773/

・リヨンとギニョール人形劇【コウゲン編6】

https://imac-j.com/blog/france/1812/

・パリの食生活【コウゲン編7】

https://imac-j.com/blog/france/1816/

・パリのファッションの変化【コウゲン編8】

https://imac-j.com/blog/france/1818/

・パリでファッションカメラマンになる【コウゲン編9】

https://imac-j.com/blog/france/1820/

・フランスから物申す~我が社の経営陣に問題あり【コウゲン編10】

https://imac-j.com/blog/france/1829/

・フランスから一時帰国【コウゲン編11】

https://imac-j.com/blog/france/1831/

・フランスから一時帰国、そして手に汗握る攻防戦【コウゲン編12】

https://imac-j.com/blog/france/1833/

・パリに帰りたい【コウゲン編13】

https://imac-j.com/blog/france/1835/

・ふたたびパリへ【コウゲン編14】
https://imac-j.com/blog/france/1838/

・パリで新しいスタート【コウゲン編15】

https://imac-j.com/blog/france/1840/

・パリでデザインアトリエ経営【コウゲン編16】

https://imac-j.com/blog/france/1863/

パリのデザインアトリエで日本人デザイナーが活躍【コウゲン編17】

・フランスの雪山ドライブ【コウゲン編19】
・パリのファッション情報【コウゲン編20】
パリで蚤の市に夢中になる【コウゲン編21】
・デザイン資料を求めてマルセイユやリヨンへ【コウゲン編22】

関連情報

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