フランス移住後、ゼネストと仕事【コウゲン編2】

フランス移住後、ゼネストと仕事

 
青空と緑の木々
 
 

羽田空港から出発

羽田空港から出発の日。
僕はもともと奈良の田舎にある小さな村のお寺の長男として生まれ、本来ならその住職になるべきだった。
それが嫌で飛び出し、お寺から離れることを目的としてきた僕を理解して、僕に代わって寺守りをしてくれていた当時存命のお袋も、僕がいよいよ遠い外国へ行くと言うので遠い奈良から見送りに来てくれた。
 
その時『いつ帰って来る?』と尋ねられて「分からない」とも言えず『1年位かな』と答えたことを覚えている。
しかし、結果的にはそれから10年ほどパリに滞在する事になる。
 
 

パリへ着いた

4月の初めにパリに着いて、とにかく今まで日本では本でしか見なかったものが色々目の前にある。
エッフェル塔、凱旋門、コンコルド広場、オペラ座等々。
パリへ着いた当初は団体旅行だったので、ホテルに滞在できたのでよかった。
 
しかし、それができなくなった日からどう滞在するか?
住む所を探す必要が出てきた。
とにかく1番安いホテルを探しそこに移る。
幸いな事に当時はパリにも安いホテルがあった。
だが、それでも安いアパートの方がより安く滞在できるということもわかってきた。
 
そんなアパートが見つかりほっとして、仕事のことが気になり出した頃、パリの街が何か騒然としてきた事に気がついてきた。
これは後になっていわゆる【5月革命】と日本で言われるフランスのゼネストの始まりだったのだ。
 
 

フランス全土ゼネスト始まる

パリの街ではストライキが頻繁に行われるようになり、店は閉店が増え、交通機関もストライキで動かないのが増えてきた。
4月も半ばを過ぎると、パリでの移動は歩くか、ヒッチハイクで移動するかしかなくなった。
これでは仕事どころではない。
仕事で行くべき事務所や店、デザインを描いているデザインアトリエなども全てゼネストの期間は閉まっている。
 
一方で、気候としてはこの年の4月から5月にかけてのパリは、いい天気が続いていた。
昼間にはチュイルリー公園、リュクサンブール公園その他の公園も一斉に花が開き、散歩して回るには飽きることがない。
そして夕方になると大規模なデモが繰り出される。
 
5月になると、このゼネストはフランス全土に広がった。
とくにパリのソルボンヌ大学のあるカルチエ・ラタンと呼ばれる地域を中心に激しいデモ隊と警官隊との衝突が催涙弾と投石の交換で繰り返された。
 
このゼネストの間はすることもない。
そこで昼間はフランス語学校で知り合いになった南米系の友達と公園で話しをしたりして、夕方になるとデモを見にカルチエ・ラタンへ行き催涙ガスを浴びながら、危険なデモ見物をする日々をすごしていた。
 
当時のパリではまだ石畳の道路が多くデモ隊の中にはツルハシを持って行進している人もいて、一旦警官隊と衝突をすると、駐車している車をバリケードにして、石畳の石を掘り起こして投石するということもあった。
 
 

ゼネストに救われる

この間のパリではバスや地下鉄は殆ど動いてなく、移動は歩くかヒッチハイクするしかなかった。
ただ日本から送金のすべもなく、金の無くなってきた僕にとっては、このゼネスト期間は有難い期間でもあった。
それは銀行も何もかもが閉まっているのでアパート代なども遅れても良いということになっていたからである。
 
その間に僕のする事は、いつ終わるかもしれないゼネストが終わった時に、本の会社やデザインアトリエに行って交渉しなければならない。
そのため、今全く出来ないフランス語をすこしでも習っておこうと、会話教室へ行くことだった。
 
幸いそこで色んな国から来ていた人たちと知合うことになったのはよかった。
時にはそこで知り合った人が食事に呼んでくれることもあった。
その時は、公共交通機関は全て止まっているので歩いて、遠い場合は1時間もかけて行ったこともあった。
 
 

ゼネスト収束、パリでの仕事始め

僕にとっては有難い期間であった、あれほど激しかった5月のゼネストも、当時のド・ゴール政権がある程度国民の要求に応えるかたちで収束した。
僕にとっては仕事をしなければならない時がやってきた。
何ができるか全く検討もつかない。 
 
1番困っていたのが、手持ちの金がないので日本から送金をしてもらうことだった。
今と違って外国へ送金するのが非常に難しい時代だ。
ゼネスト期間中にたまたま知り合ったフランス人が口座を使わせてくれるというので本当にありがたかった。
 
 

プロフィール

水彩風の男性写真
名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。
 
 

前回までのあらすじ

・ファッション資料を求めて、フランス移住【コウゲン編1】

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E-mail info@imac-jewelry.com

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