ふたたびパリへ【コウゲン編14】

ふたたびパリへ

 

パリのノートルダム寺院

 

パリへ帰ってきた

パリへ帰ってきた。
もう日本の本社との間で不愉快な思いをすることはない。
その代わり、これからは自分で収入を得なければならない。
すぐには何の方策もない。

 

楽観的な僕も、この時ばかりは少し暗くなった。
こんなに重大な局面で相談する相手はいない。

 

 

若い絵描きが僕を頼ってくる

むしろ今回の問題が起こる以前から、僕を頼ってくる若い日本からの絵描き達がいた。
当時パリには日本から来た絵描きになりたい若者が沢山いたようだ。
彼らは皆んな貧乏だ。
何かアルバイトをしたいと言う。
1人が来ると、それを頼ってまた1人来る。

 

僕は一層困った。
僕はパリのデザインアトリエデザイン画を仕入れて、日本の当時の我が社を通じて日本市場で売っていただけに、プリント生地用の、良いデザイン画であれば売れることを知っていた。
これら若い絵描きを使って、デザイン画を描くアトリエを自分でやってみるか?

 

しかし、簡単にはいかない。
場所がいる、いいデザインを描けるデザイナーが必要だ。

僕を頼って来る若い絵描きは、僕がプリント生地用のデザイン画について、いくら口で説明してもなかなか理解しない。
描いて持ってくるのは、見たこともないような、ビックリするようなデザイン画でプリント生地にはとうてい使えない。
とても彼らをデザイナーとして使えないことがよく分かった。

 

 

明るい兆し

今回退社するまで、日本からパリへくる出張客のパリ案内をよく頼まれていた。
その中には日本でよく知られた商社のパリ支社と共通の客もあって、その縁で僕は、その商社へも出入りするようになっていた。
その商社へ日本から来る繊維関係の訪問客は多かったが大抵ファッション関係のパリ情報を知りたがる。
商社の滞在社員にはファッションに詳しい人材はいない。

 

ある日のこと、この商社のパリ支社長から、繊維関係の大事な客が来た時には、パリのファッション状況について説明することをやってくれないかと言う依頼を受けた。
僕にとっては簡単なことだ。
僕はパリの街のファッション情報の取材もしていたし、ファッションには十分詳しくなっていた。
自信を持って引き受けた。

 

僕に定職ができた。
これを機に、パリ滞在についての僕の不安材料は少なくなっていった。

 

 

 

プロフィール

水彩風の男性写真

名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。

 

 

 

前回までのあらすじ

・ファッション資料を求めて、フランス移住【コウゲン編1】
https://imac-j.com/blog/france/1502/
・フランス移住後、ゼネストと仕事【コウゲン編2】

https://imac-j.com/blog/france/1506/

・パリでの初仕事~通訳事件【コウゲン編3】

https://imac-j.com/blog/france/1650/

・リヨンでの発見【コウゲン編4】

https://imac-j.com/blog/france/1768/

・パリに着いて1年後【コウゲン編5】

https://imac-j.com/blog/france/1773/

・リヨンとギニョール人形劇【コウゲン編6】

https://imac-j.com/blog/france/1812/

・パリの食生活【コウゲン編7】

https://imac-j.com/blog/france/1816/

・パリのファッションの変化【コウゲン編8】

https://imac-j.com/blog/france/1818/

・パリでファッションカメラマンになる【コウゲン編9】

https://imac-j.com/blog/france/1820/

・フランスから物申す~我が社の経営陣に問題あり【コウゲン編10】

https://imac-j.com/blog/france/1829/

・フランスから一時帰国【コウゲン編11】

https://imac-j.com/blog/france/1831/

・フランスから一時帰国、そして手に汗握る攻防戦【コウゲン編12】

https://imac-j.com/blog/france/1833/

・パリに帰りたい【コウゲン編13】
https://imac-j.com/blog/france/1835/

関連情報

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E-mail info@imac-jewelry.com

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