住職披露法要ってなに?【コウゲン編67】

住職披露法要ってなに?

 

青空でひらめく仏像

 

住職披露法要をしなければならない

住職資格を得たことが檀家にも伝わると、住職披露法要を行なわなければならないという。
近在の寺院の僧侶たちを招いて、村の檀家が集まって行うものだという。

 

その主役が僕になる。
そのためには、これまで僕が着たこともない立派な袈裟をきて、これまで唱えたこともない、お経を唱えなければならないらしい。

 

まずその豪華な袈裟がない。
それを発注することから始め、お経を練修することも始めなければならない。
それらの期間も勘定に入れて、住職披露法要の日を決めた。

 

お経の練習については、CDで聴いて、新幹線や飛行機の中でも習得できることがわかっているので、それほど心配はない。
問題は招待する何人かの僧侶たちとの合唱になることと、リードの部分が僕1人の読経になってしまうことだ。
外してはならない。

 

このことについてはモチロン練習はできない。
これは不安だ。

 

 

正座が苦手だ

もう一つ僕には大きな不安要素がある。
それはこの法要は大きなイベントなので、時間がかかるということだ。

 

その間正座を続けなければならない。
招待する予定の僧侶達は、普段から慣れているからそんなことは問題ではない。

 

僕にとっては事情が違う。
月に一回の法要の時は短めのお経にしているため、なんとかしのいでいるが、今度の大法要では、少なくとも1時間はかかりそうだと言う。
僕にとって正座で1時間というのは大変なことだ。

 

僕は、随分前の嫌な経験をどうしても思い出してしまう。
というのは、僕がまだ学生の頃、寺の年一度の報恩講という法事があり、初めて出仕したことがあった。

 

僕は新米なので、お経は他の僧侶達の真似をしながら唱えて問題なかった。
お経が終わって僧侶達は引き上げる。

 

最後尾の僕も、引き上げようとして立ち上がった。
しかしその時、僕の脚は、痺れが切れて完全に死んでいたようだ。

 

気がつくと足首が垂れたままだ。
体は既に立とうとしている。
体は前に傾く。

 

一瞬、
「これはいかん」
と思い、もう一方の足を出した。

 

これもやはり足首が垂れていた。
僕は襖越しに、少し段下にある廊下に倒れ落ちた。
大勢の本堂にいた檀家達の目前から一瞬に消えてしまった。

 

僕はこのことを思い出して心配になる。
今度の法要はもっと長く、重要なものだから。

 

だが、これはその時がきて、なるようにしかならないと思い、心配するのをやめた。

 

 

僕はもう次の出張のことを考えている

住職資格を取るということは、簡単なことではなかった。
僕は新幹線に乗って、もうお寺のことは忘れて、次の出張のことを考えている。

 

 

 

プロフィール

水彩風の男性写真

名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。

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代表者名 奥谷千賀子(オクヤ チカコ)
E-mail info@imac-jewelry.com

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