はじめての、、、【コウゲン編57】
目次
はじめての、、、
初めての法要
今日はいよいよ、寺の法要に帰る日で新幹線に乗っている。
今日の法要ではまず読経がある。
そのあとはたいてい、仏教にちなむありがたい説教をするのが通例だ。
僕もそれらしい話をしなければならない。
お経の練習はもう何度となく繰り返した。
大きな声で間違えずにやるしかない。
問題は説教の方だ。
それらしい本を読んだり、最近の雑誌や新聞を読んで、何かネタはないかと探してみるがダメだ。
ずいぶん以前だが、僕も坊さんの説教を聞いたことは何回かある。
たいてい、仏様にちなんだ、ありがたい話をして聞いている人々を感銘させていた。
大阪に着くまでイロイロ考えてみたけれど、いい説教話は浮かんでこない。
そして電車を乗り換えて、我が村に近づくまで、歩きながらも考えているのだけれどダメだ。
もう寺に着いた。
もうなるようにしかならない。
僕は黒衣に着替え、袈裟(けさ)をかけて、本堂の内陣に入り灯明(とうみょう)を灯し、線香をあげる。
僕はボンになった
本堂には、続々と檀家たちがやってくる。
檀家総会は男性だったが、法要に参るのは女性が中心だ。
もちろん皆んな僕を知っているし、僕もみんなを知っている。
みんなニコニコ顔だ。
思わず僕も声をかける。
みんなも総会のような難しい話はないから大丈夫だ。
僕「おばちゃん、皆元気?」
おばちゃんたち「ボンも元気か?」
僕はこの村ではボンになる。
子供の頃からずっとそう呼ばれていて、大人になった今も同じだ。
僕もみんなの家や家族のことも全部憶えている。
僕の同級生の母上も来ている。
僕「○○チャン元気?」
思わずたずねてしまう。
それからは、それぞれ好き勝手の話になって、盛り上がっていってしまった。
「そろそろお経をあげましょう」
と僕が言い、お経を全員で唱和する。
練習の結果が出たか、僕は堂々とリードしてお経を唱えることができた。
お経までは問題なかった。
説教話はやっぱり難しい
次に残った問題は説教話だ。
僕はいろいろ無駄話をしながら、そのうちにそれらしい説教話にが見つからないか、と試してみるがダメだ。
仕方なく、
「ここら辺で、ありがたい説教話をするのが本来だけど、僕はそれができない。申し訳ない」
と謝った。
おばちゃんたちは
「ええよ。ええやんか。そんなん気にせんでええよ。」
と言ってくれた。
「そんなら、ボンに代わって私が説教したろか?」
と冗談半分に、僕を助けてくれようとする、おばちゃんまで出て来て大笑いした。
そんな形で、難しく考えていた説教問題も、それほど気にしなくても良さそうでほっとした。
ぐっすり寝て帰った
第一回目の寺に帰っての法要が無事に終わり、これからもこの法要は問題なくできそうだということを、お袋に報告して東京へ帰った。
新幹線の中では今度はお経や、説教話の心配をせずに、ぐっすり寝て帰った。
プロフィール
名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。
関連情報
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〒107-0062 東京都港区南青山4-17-33 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
代表者名 | 奥谷千賀子(オクヤ チカコ) |
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