パリに電話がかかってきた【コウゲン編99】
目次
パリに電話がかかってきた
MMメーカーがミャンマーをひきあげる
ミャンマーにいるMMメーカーのフランス人オーナーJさんとは、Cさんは仕事を続けている。
ヤンゴンで手に入る材料に限りがあるようで、時々MMメーカーらしくないものができたりする。
MMメーカーのオーナーJさんも苦労しているようだ。
Cさんはその分を他のメーカーとの企画の中で補っているので問題はない。
しかし、そのうちMMメーカーのオーナーJさんから連絡が来なくなった。
その後しばらくして、ミャンマーから引き上げることにしたという知らせが来た。
軍政とコネのあるフランス人のスポンサーとMMメーカーとの関係がうまくいかなくなったようだ。
当面CさんはMMメーカーとのコレクション制作はストップだ。
MMメーカーのことだ、そのうちまたいつか突然、どこかから連絡があるかもしれない。
僕はパリへ出張
Cさんはパリ滞在が多い。
リヨンのVGメーカーとも会う機会が多いし、アルプスのLGメーカーもパリへ出てきて、Cさんと打ち合わせをする機会がよくある。
その続きでオーストリアメーカーの担当者であるCBさんと連絡を取って、オーストリアへ行くこともある。
この年には、パリの展示会にアルプスのLGメーカーも来るし、リヨンのVGメーカーも来ると言うので、僕もパリへ行くことになった。
僕の田舎の村からパリへ電話
僕はパリへ着いて、Cさんと展示会に行って、メーカーたちに会って忙しくしていたある日、日本から電話がかかって来た。
僕の寺がある村からだった。
普通はないことなので一瞬おかしいなと思った瞬間、お袋が急に亡くなったと言う知らせを告げられた。
86歳だったから、覚悟はしておかなければならなかったのだけれど、僕はそんなことは考えもしていなかった。
聞いてみれば、お袋はその朝も、その日の檀家参りをする服装で、部屋で一服しているような格好で横たわって、亡くなっていたと言う。
とにかく僕だけでもすぐに帰らなければならない。
もちろん僕に取っては一大ショックどころではなかった。
こんな時は、日本の僕の田舎の寺がここフランスからは、いかに遠いか、よくわかった。
すぐにも帰りたい。
お袋は、僕に好きにやらせるために、一人で頑張ってくれた。
お寺から逃げて、逃げて、ぼくは本当に好きなようにやってこれたのは全て、お袋のおかげだ。
お寺の留守番をして、毎日の檀家参りをして、檀家との間で、いろいろなやりとりをこなして、そのことについては僕には、愚痴ひとつ言わなかった。
そのおかげで、僕はなんとか今の生活ができている。
結局2日ほどかかって、お寺に着いた。
僕が帰るのを待って、檀家も含めて盛大な葬式を営んでいただいた。
檀家の人々、近所の人々から、僕の知らないお袋の話をいろいろ聞いた。
亡くなる前日まで、普通に檀家参りをしていたことなど。
村の誰もお袋のこのような急な死を考えもしていなかったらしい。
時々は体の不調を訴える時もあったようだが、それは誰にでもあるようなことだったようだ。
とにかく最後まで、毎日の檀家参りを続けていたということだ。
僕を心配させずに、やりたいようにさせるために、少々のことは我慢をして、文字通り最後まで、寺を守ってくれたのがお袋の生涯だった。
僕はそんなお袋に感謝しかない。
プロフィール
名前はコウゲン。
田舎のお寺の長男に生まれ、坊主になりたくなかった僕は、とにかく遠くへ逃げたかった。
出来れば外国へ。
その夢が実現してパリに10年住んだ後、日本に帰国してジュエリーブランドを創業。
帰国後に図らずも住職になってしまったものの、外国とのコンタクトは続く。
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