映画『ウィキッド ふたりの魔女』の魅力をファッションデザイナー視点で解説!

ボンジュール!イマックデザイナーのアレクシアです。フランスのパリで生まれ育ち、パリでデザインを学びました。
そんなデザイナーの視点でブログを書いています。
 

ミュージカル界の名作『ウィキッド』が、待望の実写映画『ウィキッド ふたりの魔女』として登場しました。本作は、華やかな衣装、細部まで作り込まれたインテリア、そして緻密な色彩計画が融合し、まるでアート作品のようなビジュアルを作り上げています。今回は、ファッションデザイナーの視点から、この映画の衣装やインテリア、色彩が持つ意味を解説し、映画をより楽しむためのポイントをご紹介します。

 

映画ウィキッド

 


1. 映画『ウィキッド ふたりの魔女』とは?

 

『ウィキッド ふたりの魔女』は、ブロードウェイで大ヒットを記録したミュージカル『Wicked』を原作とした実写映画です。日本では2025年3月に公開され、前編・後編の2部作構成で展開される壮大なファンタジー作品となっています。米国では2024年11月27日に公開予定です。

映画『ウィキッド ふたりの魔女』公式サイト

 

『Wicked』とは?

2003年に初演されたブロードウェイミュージカル『Wicked』は、トニー賞を3部門で受賞、世界15カ国以上で上演され、累計観客動員数は6000万人を超えるなど、21世紀を代表するミュージカルのひとつです。原作はグレゴリー・マグワイアによる小説『Wicked: The Life and Times of the Wicked Witch of the West』で、映画版はその舞台版をベースに制作されました。

 

映画の見どころ(制作秘話)

  • ・CGを極力使わない映像美:幻想的な列車、回転する図書館、何万本もの花畑などはCGではなく、すべて実際にセットとして制作。映像に現実味と迫力をもたらしています。
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  • ・全編“生歌”による撮影:通常のミュージカル映画では事前に歌を録音し、撮影時には口パクで演技するのが一般的ですが、『ウィキッド』では全キャストが演技・アクションと同時に生歌を披露。緊張感と臨場感のあるシーンが特徴です。
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2. 主演女優2人の魅力:シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデ

 

シンシア・エリヴォ(エルファバ役)

トニー賞、グラミー賞、エミー賞受賞歴を持つ実力派女優。緑の肌を作り上げる特殊メイクは毎回数時間を要するほどの緻密さで、細部までこだわられています。さらに、宙に浮くシーンではワイヤーアクションを自らこなし、かつ生歌で歌唱。まさに舞台と映画の融合を体現する存在です。

 

アリアナ・グランデ(グリンダ役)

世界的ポップアイコンであるアリアナ・グランデは、繊細で高音域の歌声とチャーミングなビジュアルでグリンダを見事に表現。バブル(泡)に包まれて空から登場する演出でも話題に。ふわりとした衣装と愛らしい笑顔で、舞台でもスクリーンでも人々を魅了します。

 


3. 『オズの魔法使い』との関係性:前提知識としてのストーリー概要

 

『オズの魔法使い』とは?

原作はL・フランク・ボームによる1900年の児童文学。カンザスから竜巻により「オズの国」へ飛ばされた少女ドロシーが、カカシ、ブリキの木こり、ライオンと出会いながら冒険し、家へ帰る道を探すという物語。1939年の映画版も世界中で愛される名作です。

 

『ウィキッド』との関係性

『ウィキッド』はその前日譚にあたり、“西の悪い魔女”エルファバと、“北の良い魔女”グリンダが、かつて同じ魔法学校に通っていた友情と葛藤を描いています。ドロシー視点では“悪役”だったエルファバの、人間らしさと正義感を描くことで、物語を新たな角度から捉えることができます。

 


4. 衣装デザインに見るキャラクター表現

 

衣装デザインを手がけたのはポール・タズウェル(Paul Tazewell)。『ハミルトン』『ウエスト・サイド・ストーリー』などを手がけた経験を持ち、舞台と映画両方の文脈に通じたデザイナーです。

 

エルファバの衣装:ダークな美学

彼女の衣装は、黒を基調としたドレスに流れるようなラインと複雑なレイヤーが特徴。フリル部分にはマッシュルームの裏側のひだをイメージした立体的な構造が施され、自然界の力を象徴。差し色として深緑や青を加えることで、彼女の内に秘めた強さと繊細さを表現しています。

 

グリンダの衣装:ロマンティックで華やか

パステルカラーのふわりとしたドレスは、グリンダの優雅さと明るさを体現。登場シーンで着用している王冠は“泡”をイメージしてデザインされており、バブルに包まれて空から登場する演出とリンクしています。チュールやクリスタルをふんだんに使ったディテールは、魔法のような透明感を持っています。

 


5. インテリアデザインが創る映画の世界観

 

映画内に登場するインテリアは、キャラクターの個性と世界観を強く反映する重要な要素です。

 

  • ・グリンダの部屋と衣装ケース:白とパステルを基調にした装飾的な空間。衣装ケースは“雲”のようにふわふわとした形状で、グリンダの夢見るような性格を表現。
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  • ・魔法学校の図書館:回転式の階段や天井まで届く本棚などが並ぶ荘厳な空間。魔法の世界の知識の深さを象徴。
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  • ・列車の内装:アールデコ調の要素を取り入れつつ、近未来的な照明や細部に施された装飾が融合。
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  • ・花畑:CGを使わず実際に植えられた花々は、息をのむほどの美しさと没入感を与えています。
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6. 色彩の対比:ピンクとグリーンが持つ意味

 

グリンダのピンクとエルファバのグリーンという色彩の対比には、文化的・心理的な意味が込められています。

 

  • ・アメリカ文化におけるピンク:可愛らしさ、社交性、優しさを象徴。特に1950年代以降、「ガーリー」の代名詞として定着。
  • ・アメリカ文化におけるグリーン:自然、再生、変革の色である一方、“異質さ”や“嫉妬”を象徴することもあります。『オズの魔法使い』でエルファバが緑の肌で描かれたことが、彼女を「魔女」として社会から排除する視覚的根拠となりました。
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この色彩の対比は、見た目の印象だけでなく、社会的メッセージやキャラクターの背景までも視覚的に伝えているのです。

 


7. まとめ:デザイン視点で見る『ウィキッド』の魅力

 

映画『ウィキッド ふたりの魔女』は、衣装やインテリア、色彩など、視覚的な要素が物語の深みを増す重要な役割を果たしています。ファッションデザインの視点で見ることで、映画の新たな魅力を発見し、より一層楽しむことができるでしょう。

デザインが語るストーリーに注目しながら、ぜひ劇場で『ウィキッド』の魔法に浸ってみてください!

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代表者名 奥谷千賀子(オクヤ チカコ)
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